IPOの歴史と主要出来事・新規公開株市場の変遷
1987年、バブルの象徴NTTが上場。初値から短期間に2倍に高騰する。猫も杓子も財テクブーム到来。
1988年、リクルートコスモスの値上がり確実な未公開株が大物政治家に配分されていたことが大問題に。
1990年、学者も世間も"マルチメディアブーム"インターネットが社会を変えるとパソコンや
ネットインフラが注目される。世界はまだITバブル前夜・・・。
1997年、入札制度からブックビルディング制度(BB)導入。
初めて日本証券業協会からIPOを公平に配分するようお達しがでる。
1998年、一般投資家にも裾野を広げるよう(流動性向上目的)。
業界の指針により初期投資額が50~100万円のお手ごろ価格に、この時期から初期投資額が下がっていく。
NTTドコモが世界最大のIPO(2006年、中国工商銀行に抜かれる。2019年、石油会社アラムコがトップ)
1999年、世界市場はITブーム(ITバブル)で熱狂。
この時まだ、IPOは数千万円単位の現金が必要で参加者は限られた。
IRI(インターネット総合研究所)は公募1000万円。初値5000万円。7000万円まで高騰。
以降、ネット関連のIPO人気は不動のものに。反対に公募割れのケースでは損失額が数千万単位に。
* ここまでがIPO黎明期でブックビルディング制度浸透後、飛躍的に個人投資家へ裾野を広げる。
2000年、この頃からIPOは濡れ手に粟と注目される。
初期投資額のハードルはさらに下がり20万円程度と低いものも出現。個人投資家の参加が容易になる。
ただし、完全抽選を軸とするネット証券会社での株取引はまだ浸透しておらず、個人投資家は
窓口でのお得意様への配分、営業とのバーター取引、損失補填として当選してもらうのが常識。
2005年、新内閣誕生、「小泉構造改革」の期待から市場全体が盛り上がりIPOも増加。
IPO上場日の膨大なデイトレ取引(日計り取引)に耐えられず大証のシステムがダウンするほど熱狂。
セカンダリー投資も活況で東証の脆弱システムではIPO初日約定通知に10分以上も遅延するほど
多量注文を浴びる。多量注文が原因で、大手ネット証券のシステムダウンもこの時期相次いだ。
続けて前代未聞、ジェイコム株大量誤発注事故が発生しIPOが世間の注目を浴びる。
*この頃がIPOバブル期*
公募価格からなんでも倍以上は当たり前。公募価格から初値7倍以上まで出現。
セカンダリーでも連日ストップ高銘柄が相次ぎ資産を何倍にも増やしたIPOトレーダーがあふれた。
人気のネット株が当選すれば上場前に500万円程度の利益が確約されていたような絶頂期。
個人でも家族名義で複数株取得、複数の証券会社に渡って当選すると、1銘柄の譲渡益は
1千万円を超えることは当たり前。のちに問題視されるが規制や罰則は未だない。
2006年、全体相場低迷により初値騰落率大幅低下。IPOバブル崩壊。公募割れ続出。
2007年、IPOの不公正・不透明な配分に個人投資家の不満(僻み)が爆発。
11月には日本証券業協会の各社配分方針について明確に公開せよというお達しが再度出る。
主力市場低迷に合わせIPO上場ペースが一気に鈍っていく。
2008年、IPO激減。新興市場の不正行為横行から規制や監査が厳格化(日本版SOX法導入)。
2009年、世界金融パニックも重なり昨年に続き公募割れ・延期・中止が相次ぎ過去最低のIPO数。
2010年、東証が次世代売買システム(arrowhead)により高速化。
やっと先進国と肩を並べるがIPOの出来高激減、参加者不在で閑古鳥が鳴く。
新たな金融パニックに加え、FOIが粉飾決算により6カ月の上場廃止最短記録を出しIPOの信頼は失墜。
続けてシニアコミュニケーションも5年で廃止・破産。
目論見書虚偽記載、インサイダー、粉飾などIPOに絡む不正が相次いで上場審査はさらに厳格化。
この市場環境を敬遠して一部のIPOは海外市場に逃避。
2011年、大震災と国家レベルの金融危機が世界で再発し市場は混迷。
異常な円高も重なり相場見通しは絶望的に。
IPOも激減。しかし、相変わらずネット関連のIPOは2倍、3倍となる人気ぶり。
2012年、2009年から続いた公募割れ続きのIPO低迷期から回復。
上場社数連続増加。10社増の46社。マザーズ市場が飛躍する。
2013年、米国市場の躍進から日本市場にもマネー流入。
主力市場の急回復によりIPOも堅調。不人気業態の銘柄まで倍加するが後半公募割れも現れ冷静に。
2014年、昨年に続いて上場社数増加。公募価格から短期間に10倍を超える銘柄が数社現れ、
IPOは過熱状態に。マネー雑誌やネットで騒ぎ始めると12月選別色が一気に高まり公募割れ続出。
巨大IPO「アリババ」が登場で世界中が注目。
2015年、引き続き主力市場堅調。バブル期まで回復。IPO市場でも初値3倍の銘柄も出現し、
わずか1か月で公募価格から10倍を越える銘柄も現れる。
しかし、上場3か月でgumiが赤字転落したことでムード一転、上場審査厳格化。
gumiは注目銘柄だったこともあり経営陣(社長)が転落直後に多量にストックオプション行使
売却したことが若年経営者のモラル・ガバナンス欠如としてメディアで大きく批判された。
新興市場に暗雲立ち込める中、8月・主力市場大暴落も重なり公募割れも出現。
2016年、前代未聞3月だけに22社もIPOが集中するがgumiの影響は根強く、
上場審査厳格化の影響も重なりIPOが減る。
過去最低のIPOから連続して上昇していた上場社数がこの年途絶える。
2017年、昨年に続き主力市場の高騰から、個人投資家の懐に余裕が出てきたためIPOに資金が回り込む。
調達資金の多い銘柄も買われるがIPOバブルほどでもなく選別色は根強い。
2018年、1月、米国市場がピークアウト。日本株も大打撃を受けるがIPOへの短期資金は引き続き集中。
HEROZ(AI事業)がIPOバブル期を髣髴とする初値:約11倍を記録。
2019年、米国のユニコーン企業が相次いで乱高下。
負け知らずのソフトバンクがWeWorkの投資に失敗したことも影響し、
日本のユニコーン企業も影響を受けた、新興市場の影響は強く、当然IPO銘柄の公募割れも相次いだ。
2020年、コロナ蔓延により世界市場が大暴落。
当然、新興市場も乱高下、公募割れ・延期が相次ぐが短期間で回復。
9月、ヘッドウォータース(AI事業)がHEROZを超えBB制度が導入されてからの最高記録更新。
2021年、主力市場は絶好調。
高値膠着状態が続く中、実態を伴わない銘柄のIPOにまで行き場のない短期資金が集まる。
セカンダリで連日ストップ高が続く銘柄も目立ち始めるが初値天井が続いていたため
4月からIPOへの資金が縮小し始め、毎年恒例の6月ラッシュ時には人気の業態まで公募割れが出始める。
国会でIPO制度の問題点が話題となる、続けて公取委が実態調査に着手。
これがトリガーとなりIPOの構造的な高収益環境は転換点を迎える。
2022年、1月・公取委は公開価格と初値の差が激しいことに対し独禁法に反する可能性があるとの見解を発表。
新しい内閣による"新しい資本主義実現会議"のやり玉に上げられ、公開価格にディスカウントはなくなり
新興市場暴落も重なってIPOから一気に資金が撤退。
IPO銘柄は人気業態・割安な銘柄すら買いが集まらず初値から下げ止まらない銘柄続出。
2023年、4月・公取委はIPOの公募価格決定プロセスで優越的地位を乱用したとしてみずほ証券を注意。
企業側にとって優位な価格で調達資金が多くなることは、
IPOを買う側としてはさらに不利な状況に(初値が飛ばない)。
同月、月面開発事業のispaceが上場数日で公募から10倍近くまで急騰。
初物事業の人気は不動!!適切な公募価格決定の難しさを同時に露呈する。
調達資金も多くなり、値決めによる新制度は割高でIPOらしい魅力はなくなる。
公開価格割れを続出させる結果となった。
まるでPOと変わりなくIPOの魅力が失われる。
もはやこの整合性の取れない値付けは入札制度に戻るしか解決しないのか・・・?
2024年、日経平均株価がバブル後高値を更新!!史上最高値を続け絶好調。
主力市場が好調なため不人気業態にまで投機資金を集め初値2倍も出現するが資金は終始 主力市場に集約、
IPO銘柄への物色はごく一部に限られた。後半は公開価格割れ続出。
2025年、引き続き主力市場に資金集中。日経平均 短期間で高騰 5万円の節目を超える。
その反面、昨年に続き上場ゴール銘柄が相次いだためIPOは低迷続く。安定資金は集まらず短期で資金は去る。
オルツ(AIデジタルクローン パーソナル人口知能:P.A.I)がスピード上場廃止。
革新的ベンチャーとして持ち上げていたメディアの論調もあってショックは大きく
こうした背景から、IPO銘柄から資金が流出し、上昇を続ける主力市場へ資金が向かう構図が鮮明となった。
またしても審査・監査をすり抜けての不正行為再発で"これ系のまゆつばものAIベンチャー"は当面消えた。