米国とは違う香港IPO登録届出書(目論見書)の見方。19-3

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主要と思われる項目のみ取り上げて各項目解説します。
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■Expected timetable(IPOの公募提示から公開までの詳細なスケジュール)。
日本と同じ、公募価格提示から公募価格決定までの一通りの流れ。

■How to apply for the public offer shares(銀行・証券会社などでIPOを申し込む方法。白表・黄表)
黄表、白表の提出期限(時間)、提出方法、提出銀行(証券)の住所、電話番号などの詳細が記載してあります。
「How to apply for Hong Kong public offer shares」の項目ではさらに
配分についての詳細、申し込み書記入注意事項、IPO資金の払い込み方法や手数料なども詳細に記載。
これは、香港在住の人がIPOを書面で申し込む方法で
ネットでIPOの申し込みをする日本人は目を通す必要はありません。

■Important(IPO基本情報)
1ページに収まるようIPOの基本情報が羅列されています。
オーバーアロットメント発行株数、公募・売出株数(国内分・海外分:グローバルオファー)。
仮条件、主幹事、副幹事、共同幹事、普通株(1株当たりの額面)、銘柄コードなどの必要項目が一通り並ぶ。
下部の小文字にはありきたりな、周知された投資リスクに対する免責事項。

■summary(この目論見書の要約、財務概要も含む)
目論見書のオーバービュー。膨大なページの各セクションの大要が総記されている。
目論見書を熟読する必要はなく、この項目に目を通すだけで必要十分な内容。
売上・利益などの財務概要も表記されている。
ビジネス戦略・展望・事業計画・今後の課題、現在抱えた訴訟なとの告知すべき問題など、
以降、本文にある「Business」、「Our business」の項目とダブル内容が多い。

■Share Capital(公開株の内訳)
売出し株数、公募株数、資本組入れ株数、グローバルオファー株数、
オーバーアロットメント割り当て株数、放出条件等・・・。

■Our corporate investors(大株主について、関係する投資会社や利害関係)
ベンチャーキャピタル等の利害関係やオーバーアロットメント株の各社引き受け比率など

■Risk factors(リスク要因についての各解説)
特に目論見書で重要なのがRisk factors(リスク要因)。
他の項目でも度々必ず読むように注意喚起してある項目。

企業がIPOする際は目論見書作成には多くの費用を投じて専門家を動員。
念入りに法的な漏れがないか内容をチエックします。

過去、目論見書に重大と思われる内容が記載されていなかったとして、
ナスダック上場の新華ファイナンス・メディア(XFML:GM)の
IPOで投資家が幹事に賠償請求している。これは珍しいことではない。
訴訟大国では当たり前のこと。

考え方を変えると目論見書は免罪符のようなもの。
Risk factors(リスク要因)に記載さえすれば責任は問われないということ。
自由でフェアな市場だからこそ、リスクも開示され自己責任を要求される。

だからこそ、リスクファクターのチエックは重要。
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文章の構成はボールド(太字)で書かれた題目の後に詳細な説明が続く。

目論見書の醍醐味の部分なだけに内容が濃い。すべて目を通すのはしんどいので
太字の部分だけでも簡単に目を通して欲しい。
投資対象の会社が重大な問題を抱えている可能性がある。
特許訴訟や関連会社が不祥事を起こしているケースなどもある。

代表的な文言は、「市場環境(流行)により大きな損失をこうむる可能性がある」
「国や法律の制度改正により収益が大きく変動する・・・」など月並みの内容から、

「取引先は××に依存しているため、××社の業績で経営が大きく左右される」
「子会社が訴えられている」・・・などといった内情も続く・・・。

バイオなどの研究開発費が多く赤字が続く会社ならば、
「創業から利益を1度も出せず。今後も長期間利益を出す見込みはない」
「当社への投資は大きな損失をこうむる可能性が極めて高い──」
などと、創薬ベンチャーはどこも絶望的とも思えるような悲観的な内容がが続く。

■Business/Our business
会社の歴史、事業内容、事業計画・戦略・将来展望・ビジネスノウハウ(ビジネスモデル)など記載されている。
子会社との関係や関連会社などの説明もあるので、簡単にチエックしておきたい。

■Corporate information
会社の詳細な情報、オフィス住所、電話番号、取引銀行、アドバイザーなどで参考になる内容はない。

■Industry overview
日本で言う会社概要。
財務概要もある。事業内容、事業計画等も「Business」、「Our business」の項目とダブル内容が多い。

■Underwriting(主幹事・副幹事、シンジケート団、その他幹事リスト・各幹事詳細)
主幹事、副幹事、共同幹事の記載がある。
中堅のプライベートバンク(PB)が参加していることもある。
もし、あなたが開設しているPBがリストにあれば配分してもらえるチャンス。
もちろん、日本の大手証券会社が幹事に入っていることも多い。

■Regulation(法規)
M&Aルールや国際規約など、特別な金融についての国際金融・法律の知識が必要。
専門知識がなければここは解釈できない。中国との複雑な法関係などは非常に難解。

■financial information/Financial statement(財務諸表・簿記記録)
会社の簿記記録、財務三表
財務諸表の注釈、表記についての補足説明、注意事項があるので、
どんな資産をもっているかを正確に知ることができる。

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▼海外IPO財務諸表の基本と見方。
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■米国・英国(香港)との英文表記の違い。
米国の目論見書と香港の目論見書は多少の表記が異なる。
財務諸表(Financial Statements)を見て違いに気づく方も多いのでは。

香港はイギリス系の英文だからです。
代表的な用語では下記の例がある。

株式    米:stock     英:share
売上 米:sales 英:turnover
普通株   米:common stock 英:ordinary share
売掛金   米:Accounts receivable 英:Trade debtors
買掛金 米:Accounts payable 英:Trade creditors
損益計算書 米:Income Statement(P/L)英:Profit&Loss
※多少表記が異なります。
その他、オーストラリア、ニュージランドもイギリス自治領であったことから英国表記式。

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■財務諸表の見方(Financial statement)
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財務三表がメインで構成される。
財務三表(賃借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)

この中から数項目を見るだけで、危ない会社など分かる目安になるが、
新興市場やIPO銘柄などではあまり参考にはならないので、シビアになるまでもない。

□貸借対照表(Balance Sheet:B/S)

□損益計算書
(Income Statement:P/L)(Income Statement Information)(Profit&Loss statement)

□キャッシュフロー(Statement of Cash flows:C/S)(cash flow statements)

※多少表記が異なります。

※会計年度の下に「Unaudited」は未監査。「Audited」で監査済み。

※各重要項目は財務情報ハイライト(Financial Highlights)にて。
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